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映画、本、お気に入り、つれづれ

【映画】私の中のあなた|命とは、一体誰のもの?

私の中のあなた

決して責めませんけども。

 病気の姉を助けるためにつくられた試験管ベビーの妹が、親を訴える!! 

入り口は、だいぶセンセーショナルだが、展開は意外な方向へ。

 

確かに、ラストは感動的だった。

でもなぁ…。

 

妹の命に対する扱いが、あまりにも軽く思えて

「なるほどそうですか」とはならなかった。

 

序盤からずっと、この姉妹の命は完全に母親の持ち物のようだった。

一体、誰を満たすために生かされているのか、見失ってしまう。

自分のスペアとして生まれた妹につきっきりで世話をしてもらいながら、

妹の命を削ってまで、生きながらえたいと願うだろうか…。

その願いは、自分よりもむしろ「母親」のものだ。 

 

息子をものすごくかわいがってくれた義父が、癌の治療を拒否したとき、

正直、寂しさを覚えた。

孫のために病気と闘ってくれるとばかり思っていたのだ。

かたぶつで口下手な義父が、孫と一緒の時はとても饒舌で幸せそうだったから。

 

義父がホスピスを選んだ時、別れを選択したんだなと思うと

取り残されていくような寂しさがあったが、

息子のために最期まで闘ってほしいとは、言えなかった。

義父の命は、義父のものだから。

 

色んな死生観があると思うけれど、私は、

苦しみながらでも最期まで闘って死ぬのが立派だとは思わない。

そこまでして、生きた証を残したいとも思わない。

どのくらい先のことになるかわからないけれど、

別れを覚悟したら、息子に「毎日楽しかった、ありがとう」とだけは言いたい。

そう言えるように、ますます楽しく、面白おかしく生きたいと思う。

 

この映画は、生きることと死ぬこと、命は一体誰のものか?ということを

考えるきっかけになる。

 

キャスト

出演:キャメロン・ディアス, アビゲイル・ブレスリン, アレック・ボールドウィンほか

あらすじ

私の命はオーダーメイド。姉を救うために生まれた。でも今、私はその運命に逆らって、大好きな姉の命を奪おうとしている―。ケイトに生きて欲しい―その想いは、家族みんな同じだと疑わなかった母・サラは、ある日、信じられない知らせを受ける。「もう姉のために手術を受けるのは嫌。自分の体は、自分で守りたい。」と、アナが両親を訴えたのだ。病気と闘いながらも幸せだった家族に訪れた、突然の出来事。いったい何故、アナは大好きな姉を救うことをやめる決意をしたのか?そのアナの決断の裏には、驚くべき真実が隠されていた―。Amazon作品紹介より

 


 

【映画】プライベート・ライアン|20数年ぶりにあらためて観た感想は、あの時と全く別物だった。

プライベートライアン

正当化しなければ、やってられないのが「戦争」なのか。

ノルマンディ海岸に命からがら上陸した主人公ミラー大尉に、ある命令が届く。

その内容は、「4人の息子のうち3人が戦死してしまった母親のもとへ、

末の息子ジェームズ・ライアンだけは生きて還してやれ」というものだ。

 

敵がうじゃうじゃいるやばい状況の中、どこにいるかもわからないライアンを探して

命がけで適地をくぐり抜けなければならない8人の兵士たち。

全員、モヤっている。当たり前だ。

 

「俺たちにだって母親はいるのになんでコイツは特別なんだ。」

 

ひとりまたひとりと、ライアンにたどり着く前に仲間が撃たれていく。

苦痛で泣き叫ぶ仲間に、せめて最期は楽に逝かせてやろうと

痛み止めのモルヒネバツバツン打ちまくる。

 

その仲間を撃ったドイツ兵が、この場は勝ち目がないと投降した。

必死で命乞いをするドイツ兵に同情したのか、「戦時国際法」を守るという建前で

逃がした時、仲間うちでついに小競り合いが起こる。

そこでトム・ハンクス演じるミラー大尉が

「この任務を無事にやり遂げることで、故郷の妻に胸を張って会える。」

と、その場を収める。

 

公開当時、20代だった私は、

「さすがミラー大尉、上司はこうでなくちゃ。」

と、拍手を送った。

 

しかし、今では、ミラー大尉のこの言葉は本気で怖い。

そんな風に正当化しなければ、やってられないということなのだろうか。

この戦争が、ここにいること自体が、間違っているとわかっているはずなのに

言えない。引き返せない。

 

映画冒頭の、「ノルマンディ上陸作戦」は、地獄絵図だ。

実際この作戦に参加した元兵士が、この映像の忠実さをこう表現していた。

「この映像に足りないのは、臭いだけだ。」

 

なぜここまで、残虐になれたのだろうか。

命がけで殺しあう大義名分は一体何なのだろう。

そこにどんな正義があったのだろう。

歴史をあまり熱心に勉強していない私は、「この狂気の源は何なの!?」と

背筋が寒くてたまらなかった。

 

ミラー大尉は、勇敢で立派な人だ。

部下をひとり失うたびに、その10倍の人を救っていると自分に言い聞かせる。

いい人だから、「無謀」を「正義」に変換して最後まで粘り強く戦ってしまう。

 

私は勇敢で立派な人ではないから、あの場にいたら多分、

砲弾の音が鳴りやむまで、浜辺で死体のふりをする。

ワンカップでもひっかけて臨んでいるだろうが、

例え酒の力を借りて気が大きくなっていたとしても、

弾が飛んでくる方に向かって突撃していくのは、絶対に無理だ。

想像しているだけで、まともな神経でいられなくなりそうだ。

 

その戦いに意味を持たせなければ、やってられないのかもしれない。

けれど、「先人が命がけで戦ったからこそ今の自分たちがある」というような

きれいごとには、私はどうしてもなじめない。

 

先人が半狂乱で死んでいった代わりに私が存在するというのなら、

存在しなくてもいいから死なないでほしい。

 

ミラー大尉やライアン二等兵のような勇敢で立派な人が大勢いたことと、

戦争の美しい面を見ようとすることとは、まったく別のことだ。

何か得るものがあるとしたら、

「問題解決のために、二度と戦争という手は使わない」ということくらいだろうか。

 

この映画のひとつのキーワード戦時国際法

「民間人や負傷者、降伏者を攻撃してはいけない」など

戦争にも色々とルールがあるらしい。

やるからには正々堂々!! とでも言いたげだが、

「放火はするけど火事場泥棒はしない」みたいな気持ち悪さを感じる。

 

この映画は、ドイツ VS. アメリカの一コマをアメリカ側から描いた映画なので、

正義はアメリカにあり!

というニュアンスが最後までぬぐい切れない。

ちょっとWikiで調べただけでも、当時のドイツはやり過ぎだから、

ドイツ人てやつは…という気分にならなくもない。

 でも、この映画の神髄は、そこではない気がする。

 

あえてミラー大尉やライアン二等兵に心を寄せ過ぎず、

このリアルな残虐シーンからも目をそらさず、

とち狂った戦争の犠牲は計り知れないという視点で見ることをおすすめしたい。

 

アメリカ兵もドイツ兵も、良き父、良き夫、良き息子、良き兄弟だった。

きっと、そうだ。

 

キャスト

監督:スティーヴン・スピルバーグ

出演:トム・ハンクス, エドワード・バーンズ, トム・サイズモアほか

あらすじ

ノルマンディー上陸作戦を成功させたアメリカ軍だったが、ドイツ国防軍の激しい迎撃にさらされ多くの戦死者を出してしまう。

そんな中、アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャルの元に、ある兵士の戦死報告が届く。それはライアン家の四兄弟のうち三人が戦死したというものだった。

残る末子ジェームズ・ライアンも、ノルマンディー上陸作戦の前日に行なわれた空挺降下の際に「敵地で行方不明になった」という報告が入り、マーシャルはライアンを保護して本国に帰還させるように命令する。

Wikipediaより

 

 

 

鬼滅の刃は2期の前にマンガで完結しておくことをおすすめする6つの理由

鬼滅の刃


劇場版 鬼滅の刃 無限列車編は、歴代興行収入を更新し、

鬼殺隊炎柱 煉獄杏寿郎は、2021年2月8日現在『371憶の男』である。

 

私はこれまで、マンガにもアニメにも全く触れない一般的な40代だったのだが、

アニメ鬼滅の刃の圧倒的なクオリティに感動し、

今日現在、無限列車に4回も乗り込むという熱狂ぶりである。

 

そして、マンガで完結まで読んでから臨んだ、4回目の乗車で一番泣いた。

あり得ないくらい泣いた。

別に嫌なことがあったわけではない。

 

この人気からして、アニメ2期(無限列車の続き)は制作されるはずだが、

今のところまだ制作決定の発表はされていない。

(※2/14に、アニメ2期 鬼滅の刃遊郭編 制作決定が発表された)

だいたい、製作決定を発表してから半年から9ヶ月で放送と言われているので、

仮に今日、制作決定の発表がされても、アニメで観られるのは秋以降となる。

 

アニメ鬼滅の刃は本当に素晴らしい。待ち遠しい。

しかし、私は、あえてマンガで完結しておくことを強くおすすめしたい。

 

1.図らずも刺さってしまうネタバレという名の凶器。

YouTubeを筆頭に、そこいら中にネタバレがあふれかえっている。

私はアニメ版のガチ勢だったので、死に物狂いで避けていた。

猗窩座との闘いで奥義煉獄を繰り出す直前の煉獄杏寿郎のごとく、

満身創痍で日々YouTubeのおすすめ動画機能と闘っていた。

がしかし、サムネイルで負傷。

「え、そんな…それ以上言わないでくだせぇ…言わ…ないでく」

チーン。

あっけなかった。

もうほんと、これはしょうがないんだけど、

望まない不意のネタバレって、本当、心が折れる…。

 

 2.柱や鬼たちの考察動画がものすごく面白い。

よく調べたなぁって感心するほど詳しい考察動画がたくさんある。

煉獄さんが柱になる前、柱になってすぐの解説もある。

無限列車編で、魘夢(えんむ)が炭治郎たちに見せた幸せな幻。

なぜ、煉獄さんだけは、あんなに寂しい夢だったのか。

腑に落ちて、泣けた。4回目の煉獄兄弟のシーンで、えづいた。

柱最強ランキングも面白い。

 

3.柱の中でも、煉獄さんがいかに強いかがわかる。

物語が完結に近づくにつれて、煉獄さんの強さが証明されていく。

もちろん、互角に戦った猗窩座が強かったから、という単純な結論ではない。

猗窩座はあくまで上弦の参、TOP3だ。

猗窩座より強い上弦が、まだ2人いる。これが覆るわけではない。

それでも、煉獄さんの強さは証明される。

これを知ってから再び猗窩座との戦闘シーンを見ると鳥肌が立つ。

 

4.鬼たちの過去が悲しすぎて、感情 VS 感情のボルテージが上がっていく。

鬼たちは、みな、元々は人間である。

残酷な鬼になってしまったのは、人間時代の悲しい背景がある。

思わず同情してしまうような、辛い辛い過去。

猗窩座の過去は、特にしんどい。

それを知ってから再び煉獄さんとの戦闘シーンを見ると鳥肌が立つ。

 

5.時代設定が整理される。

何百年も生き続けているラスボス鬼舞辻。

その執念深さ、その鬼畜ぶり、あんた一体、何があったのさ…と思う。

お館様との接点は?

 

鬼舞辻の因縁を知るためには、かなり時代をさかのぼらなければならない。

それに、メインイベント上弦の壱「黒死牟(こくしぼう)」や、

この物語の核を握る「継国縁壱(つぎくによりいち)」、

煉獄父や、ある現役の柱との関係・・・。

ものすごく面白いが、若干ややこしい。

 

ちなみに、私は、マンガで2回読んでやっとつかんだ。

これを知ってアニメ2期を迎えれば、感動は何倍になるだろうかと思う。

 

6.深く、長く幸せにひたれる。

 アニメ2期を待って感動するのも、もちろんいいと思う。

どうなるんだどうなるんだと、毎週ドキドキを味わえるだろう。

けど、その楽しみは、ずいぶん先になりそうだ。

2期でどこまで映像化するのかわからないけれど、2クールやったとしても、

とうてい完結までは持っていけない。

おそらく、アニメ版の完結までは、数年がかりだろう。

途中、劇場版がもう一回くらいありそうだし…。

 

マンガで完結しておくと、アニメや映画でもっと感動すると思う。

それに、感動した気持ちは、しばらく続くだろうし、

柱たちのセリフも重く、深く味わえるのではないかと思う。

劇場版で観たい場面はどこ? っていう考察も楽しめる。

 

単純に、今日から楽しいことが増える。それが一番かな。

 

【映画】天使のくれた時間|これはズルいわ~名作だけど。

天子のくれた時間

同時に持てないからこそ、尊いんですけども。

私たちは、日々、選択し続けている。

パンかライスかくらいのことはまぁいいとしても、

就職や結婚など、大きな選択にはフィードバックがつきものだ。

 

A社かB社の2択で、A社を選んだ場合、B社を選んだ自分は消える。

A社で働きながら、B社での同時刻の働きっぷりを確かめることはできない。

 

後で選びなおすことはできるが、

「A社」を選択するということは、選択しなかった「B社で働く同時刻の自分」

を捨てるということだ。

「B社を選んでいたら…」と想像はできるが、同時に見ることはできない。

 

私は、パラレルワールドの存在には懐疑的だ。

面白そうだけれど、やっぱり存在してほしくない。

時間が巻き戻せた上に別の世界線にいけるとなると、きっと飽きてしまう。

 

うまくいかないことが続くとき、違う選択をすればよかったと

つい後悔してしまうことがある。そういう時は、

「ちょっと、あんた、今より勝てる計算してないか?」

と自分につっこむことにしている。

なんなら状況がもっと悪いとか、この程度でむしろラッキー、

だった可能性もあるわけで。

 

「後悔」は無意味。

だけど、「もっといい方法」を学習するのは、大事なことだと思う。

 

「これからは、もう少し聞く耳を持とう」とか、

「大事なものは決まった場所に置こう」とか。

 

今の自分は、レールのように、過去から直線的に伸びてきたものではなくて、

色んな経験(小さな点)がつながって線になって網になったものだと思う。

無意味な点などない。一つ欠けても、今の網にはならない。

 

だから、この映画はズルいと思う。名作だけど。 

キャスト

監督:ブレット・ラトナー

出演:ニコラス・ケイジ, ティア・レオーニ, ドン・チードルほか

あらすじ

ウォール街で成功し、豪華な暮らしをしていたジャック(ニコラス・ケイジ)はある日、突然、違う人生をおくっていた!目覚めるとそこは今まで見たことがない部屋。横には13年前に別れた恋人ケイト(ティア・レオーニ)が眠り、二人の子供のパパになっていた。 「その世界」でのジャックは現実とは全く違うタイヤセールスマンの平凡な夫。やがてジャックに、現実の世界へ戻る時が近づいてくるが…。Amazon作品紹介より

 

【映画】きみに読む物語|What do you want? 君は、どうしたい?

きみに読む物語 

What do you want? 君は、どうしたい?

10代までは、本気で何にでもなれる気がしていた。

20代で社会の不公平に気づき、

30代であがいてみるが、世の中は、そんなに簡単に変わらないと知る。

そして40代になってやっと、

世の中を変えなくても、自分の幸せはいつも目の前にあると気づいた。

これは間違いなく、良書や名作映画との出会いのおかげだ。

 

しかし、長年染みついた「こう見られたい」という思考のくせは、

今でも時々、「自分はどうしたいか」を隠してしまう。

一番克服したいのは、

「期待すると、何倍も傷つくから、最初から欲しがらない」という思考癖だ。

 

確かに、拒絶されることがないので傷つくことはないが、

周囲からは、いい面も悪い面も、自分の思いとは違う反応をされることが多い。

「えっと、そうではなくて…」

説明すれば誤解はすぐにとけるのだが、最初から「こうしたいです」と言っておけば

よかったのね、と思うことが多々ある。

 

それなのに、やはり「want to」を伝えるのに勇気がいる。

「ほしいと言ったり、ほしくないと言ったり、一体どっちなのさ」

「よくわかんない人だなぁ」

きっとそういう印象を与えてきたのだろう…。

 

自分を守るための防衛本能でもあるが、これを繰り返しているうちに、

自分がどうしたいかすら、わからなくなってくるのだ。

 

でももうね、そういうことは卒業したい。

 

自分がこうありたい、こういう人たちと仕事がしたい、こういう会社に勤めたい。

この年になってやっと、自分の価値観が見えてきた。

「いい年してさぁ」

色々、言われるかもしれないけど、自分の人生だから。

 

親の立場では、何ができるか。

良家の娘と材木屋で働く青年の恋。

時代からして、この恋を成就させるのは、今よりずっとハードルが高かっただろう。

娘の両親は、青年との仲を反対するが、人間的に毛嫌いしているわけではないようだ。

「ただでさえ苦労しそうなのに、愛だの恋だのでは、生活はできないんだよ!

今はいいけど、気持ちが冷めたらどうすんの。」

そんな風に、わが子を心配する両親の気持ちは、ひとりの親としてよくわかる。

傷ついてほしくないのだ。後悔してほしくないのだ。将来をよく考えてほしいのだ。

 

けれど、将来どうなるかは、誰にもわからない。

わかっていたとしても、経験させるしかない。

子どもの人生は、子どものものなのだ。

だからこそ、たとえ子どもの選択に反対だったとしでも、

それを伝える方法が、「ちからずく」であってはならないと思う。

 

主人公のふたりが離れている間、それぞれ素敵なお相手に出会っている。

多くを語るとネタバレになってしまうのであまり触れないでおくが、

私はこの「お相手たち」の幸せを心から願う。

 

キャスト

監督:ニック・カサヴェテス

出演:ライアン・ゴズリング, レイチェル・マクアダムス, ジーナ・ローランズほか

あらすじ

ある老人ホーム。初老を迎えてはいるが、未だに美しさを失っていないアリーは夢想に浸っている。そんなアリーに「もう寝る時間だよ」と優しく声をかける、デューク。彼は彼女の横に置いてあるノートを手に取り、やさしく読み始めるのだった。

Amazon作品紹介より

【映画】愛を読む人|原作『朗読者』を読んで、もっと深く理解したい。

愛を読む人

 

彼の中途半端な優しさは、多少なりとも彼女を救ったのだろうか…

馴れ初めは相当いかがわしいのだが、一緒に過ごすうちに徐々に満たされてく。

歳の差は21歳。

幸せそうに映るふたりの時間も、

若いマイケル青年にとっては「若気の至り」を積み重ねているだけのように思えて、

ちょっと切なかった。

 

ハンナが姿を消し、数年後に法廷で再会するのだが、

そこからのマイケルには「喝!!!」だ。

意気地がないというかなんというか…。

気持ちがどうであろうと、できることがあるのでは!!

とまぁ、若くない血をたぎらせて最後までマイケルに喝!をいれ続けたのだが、

若いマイケルには、やはり重すぎたとも思える。

 

他の人のレビューでは、最後の娘とのシーンに感動したというのが多かったが、

あそこで軽くイラっとした私は、ちょっとハンナに入れ込みすぎなのだろうか。

ネタバレはしたくないので、マイケルをディスるのはここまでにしておこう。

 

とにかく、前半部分は、やたら危なっかしいのと、ケイト・ウィンスレット

美しすぎるのとで、話があまり入ってこなかった。

ハンナの様子や行動から、教育の機会を与えられなかったのではないか

ということだけは、察しがついた。

 

「絶望」なのか「愛」なのか「懺悔」なのか。それとも他の感情なのか…

多分、原作『朗読者』にもはっきりとは描かれていないとは思うが、

原作を読んで、もっと近づきたいと思う映画だった。

キャスト

監督:スティーブン・ダルドリー

出演:ケイト・ウィンスレット, レイフ・ファインズ, ブルーノ・ガンツほか

あらすじ

1958 年のドイツ。15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は気分の悪くなったところを21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)に助けられたことから、二人はベッドを共にするようになる。やがて、ハンナはマイケルに本の朗読を頼むようになりマイケルの想いは深まっていくが、ある日、彼女は突然マイケルの前から姿を消す。数年後、法学専攻の大学生になったマイケルは、ハンナと法廷で再会する。彼女は戦時中の罪に問われ、ある秘密を隠し通したために窮地に追いやられ、無期懲役の判決を受けるのだった。時は流れ、結婚と離婚も経験したマイケル(レイフ・ファインズ)は、ハンナの最後の“朗読者”になろうと決心し、彼女の服役する刑務所に物語の朗読を吹きこんだテープを送り続けるのだったが…
Amazon作品紹介より

 

 

【映画】ヴィンセントが教えてくれたこと|聖人:トンデモ爺さん。

ヴィンセント

 

「聖人」は、「人」に対してではなく、「行為」に対する言葉だと思う。

原題『St. Vincent』(聖人:ヴィンセント) 

聖人とは

一般的に、徳が高く、人格高潔で、生き方において他の人物の模範となるような人物のことをさす。Wikipediaより

トンデモ爺さんヴィンセントにはハラハラさせられた。

他人事だから見ていられるが、この隣人にわが子を預けるにはかなりの勇気が要る。

この爺さんからは、教育上、非常によろしくない匂いがプンプンしている。

 

ところがどっこい、知れば知るほど、ヴィンセントは慈悲深い人なのだ。

ヴィンセントの周りの人たちはみな、色々と事情を抱えている。

特に、ナオミ・ワッツ演じる「夜勤の人」との関係に合点がいってからは、

ヴィンセント爺さんに対する見方が180度変わる。

 

「世の中には大変な人がいる!!」「社会は変わらければならない!!」

自分は安全な場所にいながら、声高に叫ぶのは簡単だ。

YouTubeのアカウントがあれば小学生にもできる。

 

たとえ小さなことでも、実際に手を差しのべる行為にこそ価値があって、

一番エネルギーがいるのだ。

 

 

完璧な聖人なんていないし、ましてや目指す必要などない。

人間だから、時々ポンコツになる。

私はしょっちゅうポンコツになって自己嫌悪の闇だったが、

最近では「人間くさくていいじゃないか」と自分を洗脳している。

 

凡人の私には、お金もないし、社会の仕組みも変えられないけれど、

目の前の人に小さな親切をすることはできる。

せっかくいい映画を観たので、

妊婦と子連れのお母さんには、躊躇せずに席を譲ることを

ここに宣言する。

キャスト

監督:セオドア・メルフィ

出演:ビル・マーレイ,メリッサ・マッカーシー,ジェイデン・リーバハー

           ナオミ・ワッツほか

あらすじ

酒とギャンブルに溺れる不良ジジイ、ヴィンセントは、ひょんなことからお隣に引っ越して来た小学生オリバーの放課後の面倒を見ることになる。行きつけのバーや競馬場にオリバーを連れ歩き、一見ろくでもないことを教え込んでいくヴィンセント。それでも不思議と2人の間には年の差を超えた友情が芽生え、ささやかな冒険の日々が始まった。しかしある事件をきっかけに2人の交流の日々に終止符が打たれてしまう。嫌われ者のヴィンセントの本当の優しさを証明するためにオリバーがとった意外な行動とは―― Amazon作品紹介より